Deno v2.5.4
Deno v2.5.4がリリースされています。
deno update
deno update
でバージョンレンジとして~
が指定されたパッケージを更新した際に、更新後にも~
が維持されるよう改善されています (#30946)
Node.js互換性の改善
node:fs
WindowsにおいてStats
オブジェクトのino
/nlink
/blocks
の3つのプロパティーが設定されるよう改善されています (#30866)。Deno.FileInfo
にも同様の改善が実施されています。
また、cp()
におけるoptions
引数のサポート (#30502) やrealpath()
におけるencoding
オプションのサポート (#30885) も実施されています。
node:crypto
X509Certificate
のvalidFromDate
及びvalidToDate
プロパティーが実装されています (#30882)
node:zlib
入力が巨大な場合に gunzip()
がスタックオーバーフローを起こす問題が修正されています (#30865)
その他の改善
JSXプラグマコメントに関するバグの修正
@jsxRuntime
にclassic
やautomatic
以外の値が設定されている場合や@jsxFrag null
が指定された際などにプロセスがパニックする問題が修正されています (#30935)
--tunnel
オプションについて
細かな内容ですが、deno run
などの--help
に--tunnel
オプション (--connected
) の情報が表示されるよう変更されています (#30940)。ローカルから Deno Deploy へセキュアな接続を確立するための機能のようです。
deno_std
のリリース
deno_std
のリリースが行われています (release-2025.10.07, release-2025.10.07a)
@std/assert@1.0.15
@std/assert@1.0.15がリリースされています。
@std/assert/unstable-equals
と@std/assert/unstable-strict-equals
が追加されています。通常の@std/assert/equals
及び@std/assert/strict-equals
との違いとして、任意でDIFF_CONTEXT_LENGTH
環境変数に行数を指定することで、エラーメッセージ中のdiffの省略表示を有効化することが可能です (#6835)
また、@std/assert/equal
でArrayBuffer
の比較がサポートされています。assertEquals()
などのAPIにも適用されます (#6821)
@std/async@1.0.15
@std/async@1.0.15がリリースされています。
@std/async/unstable-throttle
にensureLastCall
オプションが追加されています。true
を指定すると、タイムフレーム中に複数回throttle
された関数が呼ばれた際に、最後の呼び出しが実行されることが保証されます (#6800)
また、@std/async/unstable-wait-for
でpredicate
にPromise
を返す関数が渡された場合、常にtrue
であるとみなされる問題が修正されています (#6839)
@std/html@1.0.5
@std/html@1.0.5がリリースされています。
新規APIとしてescapeCss()
(@std/html/unstable-escape-css
) とescapeJs()
(@std/html/unstable-escape-js
) が追加されています。escapeCss()
はCSS.escape()
と同様のロジックで文字列をエスケープし、escapeJs()
は<script>
タグの中に安全に埋め込めるようにオブジェクトや文字列をエスケープしてくれます (#6782)
@std/testing@1.0.16
@std/testing@1.0.16がリリースされています。
@std/testing/unstable-bdd
で下記APIが追加されています (#6712)
describe.todo()
it.todo()
test.todo()
@std/yaml@1.0.10
@std/yaml@1.0.10がリリースされています。
新規モジュールとして@std/yaml/unstable-parse
が追加されています。@std/yaml/parse
との違いとしてextraTypes
オプションがサポートされており、任意でカスタムデータ型を追加することができます (#6841)
また、@std/yaml/unstable-stringify
にも同様にextraTypes
オプションが追加されています。
@std/toml@1.0.11
@std/toml@1.0.11がリリースされています。
内部的な変更ですが、toml-lang/toml-testを使用してテストを実行する仕組みが導入されています (#6798)
@std/cli@1.0.23
@std/cli@1.0.23がリリースされています。
parseArgs()
(@std/cli/parse-args
) のcollect
オプションで宣言されている引数に対してunknown
コールバックが呼ばれてしまう問題が修正されてます (#6813)
また、Node.jsから@std/cli
経由でparseArgs()
を利用できるようにするため、各モジュールのトップレベルにおいてDeno.*
ネームスペースを参照しないよう改善されています (#6837)
@std/semver@1.0.6
@std/semver@1.0.6がリリースされています。
increment()
(@std/semver/increment
) のprerelease
オプションに${identifier}.${number}
形式の値が指定された場合、その値がそのまま prerelease として設定されるよう挙動が修正されています (#6825)
TypeScript 5.9向けのアップデート
下記パッケージのリリースが実施されています。
これらのリリースではTypeScript 5.9向けに、ArrayBuffer
関連の型定義が改善されています (#6817)
deno audit
コマンドについて
まだマージはされていませんが、Denoにdeno audit
コマンドを追加するPRが作成されています:
b4c069eed05749b14b07ba0e70e44b036e67aceaのコミット時点での実装によると、デフォルトではnpmレジストリの Full Audit エンドポイント (/-/npm/v1/security/audits
) を使用して、プロジェクトの依存関係として指定されている各npmパッケージに対して検査を実施してくれるようです。
また、追加で firewall-api.socket.dev
(@socketsecurity/bun-security-scannerの内部でも使用されているようです) を使用した検査の実装も進められているようです。