Deno v1.38

Deno v1.38がリリースされました。 この記事では主な変更点などについて解説します。 deno doc deno doc --lint deno docコマンドで--lintオプションがサポートされました。 $ deno doc --lint mod.ts Missing JS documentation comment. at file:///home/uki00a/ghq/github.com/uki00a/some-project/mod.ts:12:3 このオプションを指定すると、DenoはAPIドキュメントを出力する前に、各APIを検査します。そして以下のようなAPIが検出された場合、APIドキュメントを出力せずにエラーを表示します。 exportされているAPIにJSDocコメントが書かれていない場合 (Missing JS documentation comment.) exportされているAPIの戻り値の型定義が省略されている場合 (Missing return type.) exportされている型のプロパティがexportされていない型を参照している場合 (Type 'foo' references type 'Bar' which is not exported from a root module.) このエラーが発生した場合、そのexportされていない型に@internalを指定することでエラーを抑止できます deno doc --html deno docでAPIドキュメントのHTML形式での出力がサポートされました。 --htmlを指定すると、docsディレクトリにHTMLが出力されます。 $ deno doc --html --name=fresh-testing-library mod.ts Written 261 files to "./docs/" docs/index.htmlを開くことで作成されたAPIドキュメントを閲覧できます。...

November 5, 2023

2023/10/23〜2023/10/29の最新情報

denoland/denokv denoland/denokvというリポジトリが公開されています。 今後、Deno KVのSQLiteバックエンドやgRPCのスキーマの定義などはこのリポジトリで開発される想定のようです。 現在、Deno本体ではdenoland/denokvへの移行が行われているようです。 chore: update ext/kv to use denokv_* crates #20986 BYONMのサポートについて Deno本体でnpmなどで作成されたnode_modulesディレクトリ(BYONM)をサポートするPRがマージされています。Deno v1.38でリリースされるかもしれません。 feat(unstable): ability to npm install then deno run main.ts #20967 ⚠️この機能は実験的機能のため、今後、使い方などに変更が入る可能性があります。 例えば、以下のようにnpmでkoaパッケージがインストールされていたとします。 $ npm i koa npmによってインストールされたkoaパッケージをnpm:なしで読み込むJavaScriptファイルを用意します。 // index.js import Koa from "koa"; const app = new Koa(); app.use(async (ctx) => { ctx.body = "Hello Deno!"; }); app.listen(3000); この状態で--unstable-byonmオプションを指定すると、npmによって作成されたnode_modulesディレクトリからkoaパッケージが読みこまれます。 $ deno run --unstable-byonm --allow-net --allow-read --allow-env index....

October 29, 2023

2023/10/16〜2023/10/22の最新情報

fresh v1.5.2 fresh v1.5.2がリリースされています。 <a>要素のアクセシビリティに関する改善 fresh v1.5で<a>にdata-current/data-ancestorを付与する機能が入りました。 このリリースではさらに<a>に対してaria-current属性も設定されるように改善されています。 aria-current=page: data-currentが付与される場合、この属性も一緒に付与されます。 aria-current=true: data-ancestorが付与される場合、この属性も一緒に付与されます。 https://github.com/denoland/fresh/pull/1915 devサーバとブラウザとのやり取りがWebSocketベースで行われるように devサーバとブラウザとのやり取りがEventSourceベースからWebSocketベースへ移行されているようです。 Firefoxにおいて接続が切れてしまうことのある問題(#1765)の解消や将来的なHMRのサポートなどを視野に入れた変更のようです。(後述) https://github.com/denoland/fresh/pull/1943 https://github.com/denoland/fresh/pull/1944 DenoでのHMRのサポートについて Deno本体にHMRをサポートするためのPRが作成されています。 feat: deno run –unstable-hmr (#20876) まだ正式に入るかどうかはわからないものの、HMRを有効化するための--unstable-hmrオプションの導入や、ファイル変更時にCustomEvent経由で通知をすることなどが検討されているようです。

October 22, 2023

2023/10/09〜2023/10/15の最新情報

fresh v1.5 fresh v1.5がリリースされました。 以下に内容をまとめたため、よろしければそちらを参照いただければと思います。 fresh v1.5 Deno v1.37.2 Deno v1.37.2がリリースされました。 Deno.serve Deno.serveでUnixドメインソケットがサポートされています。(unstable) Deno.serveのpathオプションを指定することで有効化されます。 また、Deno.serveから返却されるDeno.Serverがthenableオブジェクトではなくなりました。 これにより、async関数から直接Deno.Serverをreturnできなかった問題が解消されたようです。 TransformStreamでキャンセルがサポート (cancelオプションの追加) readableがキャンセルされたタイミング または writableが中断されたタイミングでcancelオプションに指定された関数が呼ばれるようです。 TransformStream cleanup using “Transformer.cancel” (whatwg/streams#1283) deno jupyter deno.land/x/displayのDeno本体への追加 deno.land/x/displayがDeno本体に取り込まれたようです。 これにより、以下のAPIが追加されています。 Deno.jupyter.display Deno.jupyter.md Deno.jupyter.html Deno.jupyter.svg Deno.jupyter.format Deno.jupyter.broadcast Deno.jupyter.broadcastに以下のオプションが追加されています。 metadataオプション buffersオプション (バイナリデータを送信したい場合に使用できます) Deno.testのサポート deno replやdeno jupyterでDeno.testがサポートされています。 $ deno repl Deno 1.37.2 exit using ctrl+d, ctrl+c, or close() > Deno.test(function ok() {}); ok ....

October 15, 2023

fresh v1.5

fresh v1.5がリリースされました。 この記事では主な変更点などについて解説します。 Partials SPAライクなクライアントサイドでのページ遷移を実現するためにPartialsという機能が導入されました。 基本的な使い方 以下のコードを例に見てみます。 // routes/docs/[id].tsx import { Partial } from "$fresh/runtime.ts"; export default function Page({ docs, currentDoc }: { docs: Array<Doc>, currentDoc: Doc }) { return ( <> <Sidebar docs={docs} /> <Partial name="docs-main-content"> <MainContent doc={currentDoc} /> </Partial> </> ); } function Sidebar({ docs }: { docs: Array<Doc> }) { return ( <nav f-client-nav> <ul class="flex flex-col gap-2"> {docs....

October 15, 2023

2023/10/02〜2023/10/08の最新情報

WebGPU APIの再導入について Deno v1.32で一時的に削除されていたWebGPU APIを再度導入するPRが作成されています。 bring back WebGPU #20812 まだマージはされていませんが、今後、再びWebGPU APIが導入される可能性がありそうです。 denoland/terraform-provider-deno Deno公式からDeno DeployのTerraformプロパイダーが公開されています。 denoland/terraform-provider-deno Ree.js Bun/Deno/Node.jsなどをサポートする軽量・高速なWebフレームワーク。 https://github.com/rovelstars/reejs 以下のような特徴を備えているようです。 React/Twindなどをサポート esm.shなどのCDNからのURLインポートをサポート npm:<パッケージ名>によるnpmパッケージの読み込みをサポート Import Mapsのサポート Packitという独自のビルドツールの採用 Honoベースの高速なサーバー ファイルシステムベースのルーティングシステム 以下で作者の方による紹介記事が書かれています。 Welcome to the dark side. Ree.js awaits you!

October 8, 2023

2023/09/25〜2023/10/01の最新情報

Deno v1.37.1 Deno v1.37.1がリリースされました。 deno lsp 現在のファイルの全依存モジュールをキャッシュするQuickFixアクションが実装されています。(Cache all dependencies of this module.) また、deno lspでリモートのImport mapsのサポートも追加されています。 deno test Deno.testやDeno.TestContext.stepなどによるテストケースの登録がDeno v1.37から2倍近くまで高速化されています。 deno jupyter: Deno.jupyter.broadcastが追加 (unstable) Denoからdisplay_dataやupdate_display_dataメッセージを送信するためのメソッドのようです。 Deno.jupyter.broadcast Deno KV Deno.Kv#enqueueのdelayオプションに設定できる最大値が30日まで増加されました。 Node.js互換性 node:crypto: randomFillSync()にArrayBufferなどを渡すと、TypeErrorが発生する問題が修正されています。 package.json: exportsフィールドがnullだった場合、プロセスがパニックする問題が修正されています。 deno_std v0.203.0 deno_std v0.203.0がリリースされました。 std/ioが非推奨化 std/ioはDeno.ReaderとDeno.Writerベースの機能が提供されていたため、非推奨化されました。 std/encoding: encode/decodeが非推奨化 std/encodingの各モジュールで提供されていたencodeとdecodeが非推奨化されています。今後は、以下の関数への移行が推奨されます。 std/encoding/ascii85.ts: encodeAscii85/decodeAscii85 std/encoding/base32.ts: encodeBase32/decodeBase32 std/encoding/base58.ts: encodeBase58/decodeBase58 std/encoding/base64.ts: encodeBase64/decodeBase64 std/encoding/base64url.ts: encodeBase64Url/decodeBase64Url std/encoding/hex.ts: encodeHex/decodeHex std/front_matter 他のモジュールとの一貫性の向上のため、以下の各ファイルで提供されていたdefault exportが非推奨化されました。 std/front_matter/any.ts std/front_matter/json.ts std/front_matter/toml.ts std/front_matter/yaml.ts std/collections - 一部関数の引数がArrayからReadonlyArrayへ変更 以下の各関数の引数がArrayではなくReadonlyArrayを受け取るように修正されています。(std/collectionsの他の関数との一貫性の向上が目的)...

October 1, 2023

2023/09/18〜2023/09/24の最新情報

Deno v1.37 Deno v1.37がリリースされました。 以下に内容をまとめたため、よろしければそちらを参照いただければと思います。 Deno v1.37 deno_std v0.202.0 deno_std v0.202.0がリリースされました。 std/collections及びstd/cryptoでunstable/ディレクトリが導入 std/collectionsで提供されている以下のデータ構造がstd/collections/unstableへ移動されました。 BinaryHeap BinarySearchTree RedBlackTree また、std/cryptoで提供されているKeyStackもstd/crypto/unstable/keystack.tsへ移動されています。 std/crypto/to_hash_string.ts: toHashStringが非推奨化 今後はstd/encoding/hex.tsまたはstd/encoding/base64.tsの使用が推奨されます。 std/csv/parse.ts: ERR_BARE_QUOTE/ERR_FIELD_COUNT/ERR_INVALID_DELIM/ERR_QUOTEが非推奨化 std/csvの内部で使用されている各種エラーが非推奨化されています。 std/datetime/to_imf.tsが非推奨化 今後はDate#toUTCString()の使用が推奨されます。 std/media_types/type_by_extension.ts: typeByExtensionが非推奨化 std/media_typesのtypeByExtensionが非推奨化されました。 今後は、contentTypeの使用が推奨されます。 std/streams: Deno.Reader & Deno.WriterベースのAPIが非推奨化 std/streamsで提供されていたDeno.ReaderとDeno.WriterをベースにしたAPIが非推奨化されています。 今後はWeb Streams APIをベースとした機能の使用が推奨されるものと思います。 非推奨化されたファイルの一覧: std/streams/copy.ts std/streams/iterate_reader.ts std/streams/read_all.ts std/streams/readable_stream_from_reader.ts std/streams/reader_from_iterable.ts std/streams/reader_from_stream_reader.ts std/streams/writable_stream_from_writer.ts std/streams/write_all.ts std/streams/writer_from_stream_writer.ts std/encoding/hex.ts: encodeHex/decodeHexが追加 encodeHexは既存のencodeと比べると、引数をより柔軟に受け取れる点と戻り値としてstringを返す点が異なります。 decodeHexについては、既存のdecodeと異なり、stringを引数として受け取ります。 std/streams: toArrayBuffer/toBlob/toJson/toTextが追加 これらの関数はReadableStreamをそれぞれ対応する型へ変換してくれます。 import { toJson } from "https://deno.land/std@0.202.0/streams/to_json.ts"; const file = await Deno....

September 24, 2023

Deno v1.37

Deno v1.37がリリースされました。 この記事では主な変更点などについて解説します。 実験的なパッケージマネージャが実装 (jsr:URL) ⚠️この機能は実験的機能のようなので、今後、大きな変更が入る可能性があります。 ⚠️また、パッケージレジストリがまだ公開されていないため、この機能はまだ利用できない状態のようです。 Deno本体に実験的なパッケージマネージャーが実装されています。 具体的には、以下のようにjsr:形式のURLを記述することで、Denoがパッケージレジストリと連携してsemverの解決などを行いつつ、パッケージのインストールなどを自動で行ってくれるようです。 import { foo } from "jsr:@foo/some_pkg@1/mod.ts"; 例えば、この場合、@foo/some_pkgパッケージに関するsemverの解決を行うために、まずhttps://${DENO_REGISTRY_URL}/@foo/some_pkg/meta.jsonの問い合わせを行い、その内容を元にどのバージョンをインストールすべきか判断されるようです。 従来のhttps:やnpm:形式のパッケージと同様に、npm installなどのコマンドの実行は不要で、スクリプトの実行時にDenoが必要に応じてパッケージをインストールしてくれます。 また、パッケージのインストール元レジストリはDENO_REGISTRY_URL環境変数で変更可能なようです。 ここからは推測になりますが、この機能は、元々、導入される予定であったdeno:URLに相当する機能だと思われます。 Deno本体がレジストリと連携してsemver解決を行うことで、依存関係の重複問題などを解消しようというのがこの機能の狙いだと思われます。 feat(unstable): package manager #20517 Built-in support for semvered specifiers on the deno.land/x registry #17495 deno jupyter Deno本体にJupyter Kernelが実装されました。 以下のコマンドを実行すると、Deno Kernelがインストールされているかどうかを確認できます。 $ deno jupyter --unstable ℹ️ Deno kernel is not yet installed, run `deno jupyter --unstable --install` to set it up もしインストールされていなければ、以下のコマンドでインストールできます。...

September 24, 2023

2023/09/11〜2023/09/17の最新情報

Deno v1.37でリリースされそうな機能について (part 2) 前週に引き続き、直近で開発されているDeno v1.37でリリースされそうな機能について紹介いたします。 Jupyter Kernelの実装 (deno jupyter) Deno本体にJupyter Kernelを実装するPRがマージされています。 feat: Add “deno jupyter” subcommand #20337 このPRではdeno jupyterという新しいコマンドが実装されており、これを利用することで、Deno本体に組み込まれたJupyter Kernelのインストールや起動などを行うことができるようです。 このコマンドでは、以下の3つのオプションが提供されています。 オプション 説明 --install Deno本体に組み込まれたKernelをJupyterにインストールします。 --kernel Deno本体に組み込まれたKernelを起動します。以下の--connとセットで指定する必要があります。 --conn コネクションファイルのパス これらのうち、ユーザーが直接利用するのは--installオプションです。 # KernelをJupyterにインストールします $ deno jupyter --unstable --install --kernelと--connについては、JupyterがKernelを起動する際に使用されるもののため、ユーザーが直接利用することは想定されていません。 また、--installも--kernelも指定しないでdeno jupyterを実行すると、Deno Kernelがインストールされているかどうかを確認できるようです。 $ deno jupyter --unstable 今のところ、deno jupyterの利用には--unstableの指定が必要なようです。 using/await usingのサポート (TypeScriptのみ) Deno本体のTypeScriptをv5.2へアップデートする対応に続いて、usingとawait usingをサポートする対応がマージされています。 feat: explicit resource management in TypeScript #20506...

September 17, 2023