2023/01/23〜2023/01/29の最新情報

Deno v1.30.0 Deno v1.30がリリースされました。 以下に変更内容をまとめたため、よろしければ参照ください。 Deno v1.30 deno_std v0.175.0 deno_std v0.175.0がリリースされました。 非推奨APIの整理などが実施されています。 std/io/buffer.ts: (破壊的変更) 非推奨APIの削除 以下のAPIが削除されています。 同名のAPIは引き続き別ファイルで提供されているため、もしこれらを利用されている場合は、以下の移行先ファイルへimportを書き換える必要がありそうです。 対象API 移行先 BufferFullError std/io/buf_reader.ts BufReader std/io/buf_reader.ts PartialReadError std/io/buf_reader.ts ReadLineResult std/io/buf_reader.ts BufWriter std/io/buf_writer.ts BufWriterSync std/io/buf_writer.ts readDelim std/io/read_delim.ts readStringDelim std/io/read_string_delim.ts readLines std/io/read_lines.ts std/io/files.tsモジュールの削除 (破壊的変更) std/io/files.tsが削除されています。 このファイルで提供されていたAPIはstd/io/read_range.tsから引き続き利用できるため、今後はそちらへ移行する必要がありそうです。 std/io/readers.tsモジュールの削除 (破壊的変更) std/io/readers....

January 29, 2023

Deno v1.30

Deno v1.30がリリースされました。 この記事では主な変更点などについて解説します。 Node.js互換性の改善 2023年 Q1のロードマップで発表されていたNode.js組み込みパッケージの利用が正式にサポートされました。 以下のように、node:<パッケージ名>の形式でimportを記述すると、Node.js組み込みパッケージをDenoから利用することができます。 import { EventEmitter } from "node:events"; const emitter = new EventEmitter(); emitter.on("foo", console.log); emitter.emit("foo", "bar"); また、Node-APIの互換性の改善も引き続き実施されており、以下のAPIなどの互換性が向上されています。 napi_adjust_external_memory napi_detach_arraybuffer napi_is_detached_arraybuffer deno.jsonでのImport Mapsの定義がサポート こちらも2023年 Q1のロードマップで発表されていた機能になります。 deno.jsonでimportsやscopesなどが定義されていると、--import-map使用時と同様に、deno.jsonの定義内容を元にDenoがbare specifierが解釈してくれます。 例えば、以下のような内容のdeno.jsonが存在したとします。 { "imports": { "dax": "https://deno.land/x/dax@0.24.0/mod.ts" } } この場合、ソースコードでは以下のようにしてdaxモジュールを利用することができます。 import { $ } from "dax"; await $`echo foobar`; deno fmtでセミコロンの有無を制御できるように 今まで、Denoに搭載されたフォーマッタであるdeno fmtコマンドでは、ソースコードにおける行末のセミコロンの有無をカスタマイズすることができませんでした。 今回のリリースでは、deno.jsonでfmt.options.semiColonsオプションがサポートされました。 このオプションにfalseを設定すると、deno fmtの実行時に行末のセミコロンが取り除かれます。 { "fmt": { "options": { "semiColons": false } } } また、--options-no-semicolonsオプションにより、CLI経由でセミコロンの有無を制御することも可能です。...

January 29, 2023

2023/01/16〜2023/01/22の最新情報

Denoのロードマップ (2023年 Q1) Denoの2023年 Q1のロードマップが公開されました。 以下のページに内容をまとめたため、よろしければ参照いただければと思います。 Denoのロードマップ (2023年 Q1) https://github.com/denoland/deno/issues/17475 Deno v1.29.4 Deno v1.29.4がリリースされました。 Node-APIに関する改善 Node-APIの互換性の向上が実施されています。 napi_get_arraybuffer_info/napi_get_buffer_info/napi_get_typedarray_infoで lengthなどの各引数がNULLであった際のケースが考慮されるように挙動が改善されています。 napi_create_errorやnapi_is_error, napi_throw_errorなどのエラー関連APIの互換性が向上されています。 Flash(Deno.serve)の改善 Request.cloneを呼ぶと、エラーが発生する問題が修正されています。 リクエストメソッドがPOST/PUT/PATCHのいずれかで かつ Deno.serveに渡したハンドラでリクエストボディがconsumeされていない場合、プロセスがパニックする問題が修正されています。 レスポンスボディとして設定したReadableStreamからUint8Array以外の値がenqueueされた際に、Deno.serveに渡したonErrorハンドラが呼ばれず、Unhandled rejectionが発生してしまう問題が修正されています。 Deno APIに関するバグ修正 Deno.copyFileSyncを実行した際に、コピー先のファイルへパーミッションが受け継がれない問題が修正されています。 WindowsでDeno.systemMemoryInfo()を呼んだ際にswapTotalやswapFreeとして返却される値の信頼性が向上されています。 https://github.com/denoland/deno/releases/tag/v1.29.4 deno_std v0.173.0 deno_std v0.173.0がリリースされました。 std/node 前回のリリースで追加されたnode:clusterがリバートされています。 Deno本体でnpm互換が有効化されている場合に、node:clusterを使っていない場合であっても、NODE_CLUSTER_SCHED_POLICYなどの環境変数に対するパーミッションが要求されてしまうためのようです。 現在、Deno本体でDeno.permissions.querySync()の実装が進められており、これが正式にサポートされたら、改めてnode:clusterを追加することが検討されているようです。 std/fs/expand_glob expandGlob(Sync)のglobstarオプションのデフォルト値がfalseからtrueへ変更されました。 std/streams/text_line_stream TextLineStreamで最後の行の後に空文字列が余分にenqueueされてしまう問題が修正されています。 https://github.com/denoland/deno_std/releases/tag/0.173.0 eslint_binary eslint_binaryという、DenoのNode.js互換性やV8 Snapshot、ESBuildなどを活用して、ESLintをシングルバイナリ化するプロジェクトが公開されています。 bartlomieju/eslint_binary このプロジェクトはあくまでPoCのため、今後どうなるかはまだ不明ですが、READMEにロードマップが公開されており、ESLintのCLIをRustで書き直すことなども検討されているようです。 esm.shの2023年のロードマップ esm.shの今年のロードマップが公開されています。 Roadmap of 2023 プレイグラウンドにコードの共有機能を実装することや、安定性の向上などを図ることが検討されているようです。...

January 22, 2023

Denoのロードマップ (2023年 Q1)

Denoの2023年 Q1のロードマップが公開されました。 https://github.com/denoland/deno/issues/17475 このページでは、新しく実装が検討されている機能などについて紹介いたします。 deno.jsonでのimportsフィールドのサポート 今までDenoでImport Mapsを利用するには、専用のファイルを用意しておき、それを--import-mapオプションで読むこむ必要がありました。 現在、deno.jsonで直接Import Mapsを定義できるようにするため、importsオプションの追加が検討されています。 これが実現されれば、以下のようにdeno.jsonで直接マッピングを定義できるようになります。 { "imports": { "redis": "https://deno.land/x/redis@v0.29.0/mod.ts", "dax": "https://deno.land/x/dax@0.24.0/mod.ts" }, "tasks": { "start": "deno run --allow-net --allow-env ./main.ts" } } Deno公式が公開している02-deno-canonical-appにも使用例があるため、よろしければそちらも参照いただければと思います。 deno:URLのサポート deno:という新しいURLスキームの導入が検討されており、これにより、deno.land/xからのモジュールの読み込みを簡略化できます。 import $ from "deno:dax@24.0/mod.ts"; await $`echo foobar`; また、deno.land/xでも機能の拡張が予定されているようで,/x/some-packageにアクセスされた際は/x/some-package/mod.tsにリダイレクトさせることが検討されているようです。 例えば、deno:dax@24.0と記述した場合、/x/dax@0.24.0/mod.tsが読み込まれます。 package.jsonのサポート Deno本体でpackage.jsonのサポートが検討されているようです。 例えば、以下のような内容のpackage.jsonがあったとします。 { "type": "module", "scripts": { "main": "deno run -A main.ts" }, "dependencies": { "chalk": "^5....

January 22, 2023

2023/01/09〜2023/01/15の最新情報

Deno v1.29.3 Deno v1.29.3がリリースされました。 FFI 構造体の値渡しがサポートされています。 const Point = ["i32", "i32"]; const dylib = Deno.dlopen(libpath, { make_point: { parameters: ["i32", "i32"], result: { struct: Point }, }, print_point: { parameters: [{ struct: Point }], result: "void", }, }); const point = dylib.symbols.make_point(1, 2); assert(point instanceof Uint8Array); dylib.symbols.print_point(point); https://github.com/denoland/deno/pull/15060 Node-API 以下のNode-APIがサポートされました。 napi_ref_threadsafe_function napi_unref_threadsafe_function napi_add_env_cleanup_hook napi_remove_env_cleanup_hook また、Node-API経由で定義したclassの静的プロパティが適切にハンドリングされるように修正されています。 CLI --reloadと--watchを併用した際に、ファイル変更のたびに--reloadによるモジュールの再ダウンロードが行われてしまう問題が修正されています deno installによって作成されるshimにデフォルトで--no-configが指定されるように修正されています その他 ReadableStreamのasyncIteratorの挙動に関する互換性が向上されています BroadcastChannel....

January 15, 2023

2023/01/02〜2023/01/08の最新情報

Deno v1.29.2 Deno v1.29.2がリリースされました。 Deno.osUptime() システムが起動してからの経過時間を取得するために、Deno.osUptime()というAPIが追加されました。 利用するには、--unstableと--allow-sysの指定が必要です。 Deno.Conn.ref()/unref() Deno.Connへunref()とref()メソッドが追加されました。 これらのAPIの利用には--unstableの指定が必要です。 unref()メソッドを呼ぶと、Deno.unrefTimerなどと同様に、読み込み途中のコネクションが存在したとしてもプロセスの終了がブロックされなくなります。(ただし、効果があるのは読み込みに対してのみで、書き込みについてはunrefを呼んだ場合であってもブロックされます) ref()メソッドを呼ぶと、unref()されたコネクションをデフォルトの状態に戻すことができます。(通常通り、読み込み途中のコネクションがプロセスの終了をブロックします) CLIに関するバグ修正 --node-modules-dirが指定された際にrequire()でパッケージが適切に解決できないケースがある問題が修正されています deno.json(c)でTypeScriptのcompilerOptions.noErrorTruncationオプションを設定できない問題が修正されています dynamic importが使用されていると、"unhandledrejection"のリスナが呼ばれないケースがあった問題が修正されています deno instlallもしくはdeno uninstallを実行する際に、ロックファイルの自動適用が行われてしまう問題が修正されています Deno APIに関する修正 Deno.memoryUsage()から返却されるrssプロパティに正しい値が設定されない問題が修正されています Deno.permissions.revokeまたはDeno.permissions.requestでname: "ffi"が指定された際に、pathオプションにURLオブジェクトを指定できるようになりました。 fetch()関連の修正 下記のケースでプロセスがパニックしてしまう問題が修正されています: 引数に不正な形式のURLが与えられた場合 bodyオプションに渡したReadableStreamでエラーが発生した場合 deno lsp関連の修正 下記のケースでTest code lensが表示されない問題が修正されています Deno.test()でテスト名がテンプレートリテラルを使用して定義されている場合 下記のように、関数を使用してテストケースが定義されている場合 const test = () => ({ name: "some test", fn: () => {} }); Deno.test(test()); "Add all missing imports"アクションで正しいimport文が生成されないことがある問題が修正されています プライベートフィールド(#someField)の補完が適切に動作するように修正されています https://github.com/denoland/deno/releases/tag/v1.29.2...

January 8, 2023

2023/12/26〜2023/01/01の最新情報

Deno.Connへのunrefとrefメソッドの追加 Deno.Connへunrefとrefメソッドを追加するPRがマージされています。 feat(unstable): Add Deno.Conn.ref()/unref() (denoland/deno#17170) Deno.Connのunrefを呼ぶと、Deno.unrefTimerなどと同様に、読み込み途中のコネクションが存在したとしてもプロセスの終了がブロックされなくなります。(ただし、効果があるのは読み込みに対してのみで、コネクションへの書き込みについてはunrefを呼んだ場合であってもブロックされます) これらはunstable APIのようなので、次のDeno v1.29.2あたりでリリースされる可能性がありそうです。 Deno.osUptime Deno.osUptimeというAPIを追加するPRがマージされています。 feat(unstable): Add “Deno.osUptime()” API (denoland/deno#17179) このAPIを利用することで、システムが起動してからの経過時間を数値として取得できるようです。 const uptime = Deno.osUptime(); これもunstable APIのため、次のDeno v1.29.2あたりでリリースされる可能性がありそうです。 Big news in Deno Land Ryan DahlさんとJerod SantoさんによりBig news in Deno Landというポッドキャストが公開されています。 ページ下部にTranscriptがあるため、そこから内容を閲覧することもできます。 https://changelog.com/jsparty/256 このポッドキャストでは、主にDenoでnpmサポートを導入した背景などについて解説されています。 また、Denoの将来についてもいくつか話が行われており、以下のような内容の話題が出ていました。 ShadowRealmなどを活用したパッケージごとのパーミッション管理のサポートについて --allow-writeを指定した際は、ファイルシステム全体ではなく、カレントディレクトリ配下への書き込みのみを許可すべきでは? Deno Deployにおける状態管理やCockroachDBやSpannerなどについて また、Denoの直近の開発方針としては、主に以下の点に注力されていく予定のようです。 npmサポートの拡充 (安定性の向上やdeno compileでのnpm:のサポートなど) Deno Deployでのnpm:のサポート https://deno.news/archive/55-deno-v129-and-npm-install-heat

January 1, 2023

2022/12/19〜2022/12/25の最新情報

今週はDenoでリリースが行われていないため、直近の話題や変更などについて紹介いたします。 Flash(Deno.serve)の書き換えについて 現在、Flash(Deno.serve)の書き換えが検討されているようです。 Flashで報告されている様々な問題の解決などが目的のようです。 以下のissueで解決予定の問題が列挙されています。 Flash HTTP server rewrite - umbrella issue (denoland/deno#17146) Deno.coreの削除について 現在、Denoの内部APIであるDeno.coreの削除が検討されているようです。 refactor: remove Deno.core (denoland/deno#16881) ひとまずはDeno.coreはDeno[Deno.internal].coreへ移動される予定のようで、deno_stdではすでに対応が実施されています。 refactor: handle Deno[Deno.internal].core (denoland/deno_std#3029) ただし、将来的にはDeno[Deno.internal].core自体も削除が予定されているようなので、もしDeno.coreを使用されている場合は、今のうちに対応をしておくとよいかもしれません。 deno_lintへのguard-for-inルールの追加 deno_lintでguard-for-inルールが実装されているようです。 feat: Add guard-for-in rule (denoland/deno_lint#1105) 次のDenoのリリースあたりでdeno lintコマンドから利用できるようになる可能性がありそうです。

December 25, 2022

2022/12/12〜2022/12/18の最新情報

Deno v1.29.0 Deno v1.29がリリースされました。 以下に変更内容をまとめたため、よろしければ参照ください。 Deno v1.29 deno_std v0.168.0 deno_std v0.168.0がリリースされました。 https://github.com/denoland/deno_std/releases/tag/0.168.0 std/archiveのファイル構成の変更 新しいファイルとしてstd/archive/untar.tsが追加されています。 これに伴い、std/archive/tar.tsからの下記の読み込みが非推奨化されています。 TarHeader Untar TarEntry 今後、これらのAPIを利用する際は、std/archive/untar.tsから読み込むことが推奨されます。 std/ioのファイル構成の変更 std/ioパッケージの下記ファイルが細分化されています。 std/io/readers.ts std/io/writers.ts std/io/util.ts 具体的にはstd/fsなどのように、各APIがそれぞれ単独のファイルで提供されるように構造が変わっています。 例えば、std/io/readers.tsに配置されていたStringReaderは、今後はstd/io/string_reader.tsから読み込むことが推奨されます。 より詳しくは公式のブログ記事を参照いただければと思います。 https://deno.com/blog/v1.29#changes-to-the-standard-modules std/dotenv - config()がload()へリネーム std/dotenvで提供されているAPIがリネームされています。 リネーム前 リネーム後 config load configSync loadSync ConfigOptions LoadOptions 古い名前のAPIも削除されずに残されてはいますが、現在は非推奨化されているため、もし使用されている場合は新しい名前への移行が推奨されます。 std/nodeの改善 std/node/httpのServerResponseクラスでTransfer-Encoding: chunkedが意図通りに動作しない問題が修正されています。 また、Buffer.toStringによるUTF-8のデコードが大幅に高速化されています。 Elsaの開発について Denoに影響を受けたJavaScript/TypeScriptランタイムであるElsaで、内部実装の書き換えが検討されているようです。...

December 18, 2022

Deno v1.29

Deno v1.29がリリースされました。 この記事では主な変更点などについて解説します。 サブプロセスAPIに関する変更 Deno.spawn, Deno.spawnSync, Deno.spawnChildの削除 Deno v1.28でDeno.Commandが実装されたため、下記のAPIが削除されています。 Deno.spawn Deno.spawnSync Deno.spawnChild このあたりの背景などについては、下記の記事で詳しく解説されています。 Deno.run と Deno.spawn と Deno.Command のどれを使えば良いのか また、Deno.Commandについてもv1.28.3でAPIが若干変更されています。 Deno.spawn系統のAPIからDeno.Commandへの移行について Deno.spawn()はDeno.Child#output(), Deno.spawnSync()はDeno.Child#outputSync()で代用できます。 const command = new Deno.Command("deno", { args: ["info", "--json"], }); const status = await command.output(); if (status.success) { console.info(new TextDecoder().decode(status.stdout)); } Deno.spawnChild()はDeno.Child#spawn()で代用できます。 const command = new Deno.Command("deno", { args: ["fmt", "--ext=json", "-"], stdin: "piped", stdout: "piped" }); const child = command....

December 18, 2022